歯の高さを変えると、顔の印象も変わるのでしょうか?
奥歯喪失後の咬合高径回復と顔の印象の変化

CASE SUMMARY · 咬合高径の回復
この症例の概要
奥歯を失った状態で過ごしていた患者さん。
院長は、顔の下部が短く見え、口周りのしわが目立ち、年齢を重ねた印象に見えることを観察しました。
奥歯の高さを確保し、咬合高径を回復しました。
インプラント治療と前歯の審美治療を併用した症例です。
唇・口角・顔の下部と笑顔の印象の変化。
院長の記録では、2枚の写真は同じ日に撮影されています。
通常の写真と、高径の観察範囲を示した写真を併せて比較します。
治療前は唇を閉じた状態、治療後は笑顔の状態です。表情の違いは口角やしわ、唇の形に影響します。
症例提供:Harue歯科 イ・ハンナ院長
歯の高さと顔の下部を併せて考えたインプラント・前歯審美治療の症例
奥歯を失ったまま長く過ごしていた場合は、歯のない部分だけでなく、咀嚼時に上下の歯が接触する高さや顔の下部の様子も併せて確認する必要があります。この患者さんは奥歯を失った状態で過ごしていました。院長は治療前に、顔の下部が短く見え、しわが目立ち、年齢を重ねた印象に見えることを観察しました。
Harue歯科では、奥歯の高さを確保して咬合高径を回復する治療と、前歯の審美治療を併せて行いました。院長は、治療後に若々しく、すっきりと見える印象や、リフトアップのように見える変化を説明しました。本文ではその臨床的観察を保ちつつ、写真で確認できる点と、写真だけでは原因を判断できない点を区別します。
歯の高さを回復すると、顔の印象も変わりますか?
咬合高径の変化は、顔の下部や唇周りの軟組織の形態に影響することがあります。 ただし、顔の印象は表情や撮影条件にも左右されるため、高径を回復すれば誰もが同じ外見の変化を得られるとはいえません。 3D研究を見る
今回の治療前後写真は表情が異なります
治療前は唇を閉じた写真、治療後は笑顔の写真です。 口角の上昇やしわの変化が高径の増加によるものか、表情の変化によるものかは、この2枚の写真だけでは区別が困難です。
高径の増加に伴う実際の軟組織変化を評価するには、治療前後とも唇を自然に閉じた安静時の写真を比較することが望まれます。撮影角度・距離・倍率や頭部の姿勢も、できる限りそろえて比較する必要があります。
院長の治療判断 · 奥歯の高さと顔全体の調和
この症例で院長が重視したのは、失った奥歯の修復と高径の回復を一体として考えることでした。前歯の審美治療だけでなく、奥歯の高さと顔の下部の関係を考慮した全体的な回復を説明しました。
奥歯を失ったまま放置していた患者さんの治療前の様子を見ると、顔の下部が短く見え、しわが多く、年齢を重ねた印象に見える。全体的に奥歯の高さを確保し、高径を回復した治療後は、より若々しく、すっきりと見え、リフトアップのような印象が見られる。
したがって、奥歯を失った患者さんや、歯の摩耗によって高径が低くなった患者さんでは、高径を適切に調整することで顔の形を整え、若々しく見えるリジュベネーションのような印象を得られることがある。
この患者さんはインプラント治療と前歯の審美治療を併用した症例である。本症例の写真は同じ日に撮影された。このような全体的な回復は、単なる歯の治療を超える変化をもたらすことがある。
高径の回復とリフトアップのように見える印象の変化
原文の「リフトアップ効果」「リジュベネーション効果」は、治療後により若々しく、すっきりと見える臨床的印象を表す言葉です。この写真は、皮膚そのものの加齢が逆転したことや、美容リフトアップ施術と同じ効果を証明するものではありません。
失った歯と高径を回復する治療判断と、写真で見える印象の変化を併せて説明しつつ、両者を同一の所見として扱いません。
実際の治療前後 · 顔の下部と笑顔


01. 奥歯喪失後の顔の下部を観察しました
奥歯を失った状態で過ごしていた患者さんです。院長は治療前に、顔の下部が短く見え、しわが多く、年齢を重ねた印象に見えることを観察しました。
この判断で重要なのは、歯のない部分だけでなく、奥歯の高さと顔の下部の関係でした。「咬合高径」とは、上下の歯が接触するときの上下顎間の垂直的な高さの関係を指します。
歯の高さと顔の下部を併せて考えます
奥歯の高さを確保し、高径を回復した後に、顔の印象がどのように変わって見えるかを観察した症例です。
写真から受ける印象と、実際の高径測定は異なる資料です。
高径の説明用写真 · 観察範囲


02. インプラントと前歯の審美治療を併用しました
この患者さんはインプラント治療と前歯の審美治療を併用しました。院長は、全体的に奥歯の高さを確保し、高径を回復したと説明しています。
奥歯の高さの回復と、見える前歯の外観が同時に変化した症例のため、笑顔の印象の変化を1つの治療だけの効果として説明することは困難です。
原文では、歯の摩耗によって高径が低くなった患者さんも、適切な高径調整を検討できると説明しています。これは一般的な治療判断の対象についての説明であり、この患者さんに歯の摩耗があったと追加診断する意味ではありません。
同じ日の撮影と治療期間は異なる情報です
院長の記録には、本症例の写真が同じ日に撮影されたと記載されています。
写真の撮影時点だけから、インプラントの全治療期間や詳しい治療順序を断定しません。
03. 写真で観察できる4つの変化
元の写真から、次のような違いを観察できます。以下は写真の外観の説明であり、高径回復の単独効果を測定した結果ではありません。
治療後は唇が開き、上唇と下唇の形が変わり、口周りがよりふっくらと見えます。
口角の周り
治療前より口角が上がって見え、口周りの下がった印象が和らいだように見えます。
顔の下部
顎先と唇の関係が変わって見え、顔の下部がより自然な印象に見えます。
全体的な印象
治療後は笑顔が見られ、より明るく若々しい印象を与えます。
唇を閉じた様子と笑顔を比較しているため、表情の影響も考慮する必要があります。
04. 確認できる外観と追加評価を区別します
確認できるのは、この患者さんの治療前後写真で、唇の形、口角、顔の下部、笑顔の印象が異なって見えることです。院長は治療後により若々しく、すっきりと見え、リフトアップのような変化があると説明しました。
一方、この写真だけでは実際の高径増加量、しわの深さの数値変化、変化の持続期間、高径回復が寄与した割合を計算することはできません。患者さんの満足度や長期的な治療結果も推測しません。
同じ表情・条件の写真が追加評価に役立ちます
治療前後とも唇を自然に閉じた安静時の写真を比較すると、表情の違いを減らして軟組織変化を観察するのに役立ちます。
臨床的観察を客観的な測定結果のように誇張しないことが重要です。
学術的根拠 · 高径の変化と顔の形態
MohindraとBulmanによる2002年の研究
咬合高径を増加する治療を受けた96人に質問票を送り、回答率は72%でした。回答者の79.7%が、治療後により若く見えると回答しました。5人の独立した評価者は、評価した患者写真の81.2%で、より若く見えると判断しました。 論文原文と抄録
この割合は、その研究集団における外見の評価結果です。高径を回復するすべての患者さんの成功率や、この患者さんがどの程度若く見えたかを示す数値ではありません。
Kimらによる2025年の3D顔面スキャン研究
健康な歯列を持ち、高径の喪失がない40人を対象に、2・4・6・8mmの高径増加を比較しました。顔全体の高さ、顔の下部の高さ、鼻唇角は増加し、唇の幅と高さは減少するなど、軟組織の測定値に変化が観察されました。 Wileyの論文を見る
この研究は、高径の変化が顔の形態に影響する可能性を示しています。ただし、研究対象は奥歯喪失後に高径を回復した今回の患者さんとは異なり、研究で比較した数値をこの患者さんの高径増加量として適用することはできません。
高径を高くすれば常に美しくなるわけではありません
Sunらによる2021年の研究では、高径の喪失がない25人の高径を段階的に増加させ、顔の形態と審美的評価を比較しました。その条件では、元の高径がより審美的と評価される場合が多く見られました。 研究を見る
必要な高径を適切に回復する判断が重要であり、外見を変えるために無条件に高くする方針ではありません。
咬合高径回復の相談前に確認したい5項目
どの奥歯がいつからないのか、その後どのような治療を受けたのかを整理します。
歯が短く見える、またはすり減っていると感じるか、噛むときにどのような不快感があるかを説明します。
奥歯の回復と、前歯の形や笑うときに見える歯についての希望を分けて相談します。
唇を自然に閉じた写真と笑顔の写真を、それぞれ同じ条件で比較できるか確認します。
写真で見える変化と検査で確認すべき事項を区別し、治療後の管理や定期確認の計画を相談します。
咬合高径回復のよくある質問
高径の回復だけで顔が若々しく見えますか?
顔の印象が変わることはありますが、誰もが若々しく見える結果を得られるとは保証できません。
高径の変化は顔の下部や唇周りの軟組織形態に影響することがあります。今回の写真は表情も異なるため、高径回復の単独効果と表情の影響を分けて判断することは困難です。
この患者さんはどのような治療を受けましたか?
インプラント治療と前歯の審美治療を併用しました。
院長は奥歯の高さを確保し、高径を回復したと説明しています。提供情報にない材料、インプラント本数、高径増加量の数値は追加していません。
青い矢印は実際の顔の長さの測定値ですか?
いいえ。鼻の下から顎先までの観察範囲を示す説明用の印です。
校正された測定基準がなく、同じ表情の写真でもないため、矢印の長さだけで高径増加量を計算することはできません。
治療前後写真を同じ日に撮ったなら、治療も1日で終わったのですか?
撮影日だけから、全治療が1日で完了したとは判断できません。
院長の記録には同じ日に撮影されたとありますが、インプラントの全治療期間と撮影時点は異なる情報です。
論文の79.7%と81.2%はこの治療の成功率ですか?
いいえ。その研究で、より若く見えると評価された割合です。
79.7%は質問票回答者の自己評価、81.2%は独立した評価者による写真の評価です。機能的な成功率や個人の治療効果を予測する数値としては使用できません。
顔の変化を比較するにはどのような写真が必要ですか?
治療前後とも、唇を自然に閉じた安静時の写真を同じ条件で比較することが望まれます。
笑顔の写真も別に比較し、撮影角度・距離・倍率や頭部の姿勢をできる限りそろえると、表情と撮影条件の影響を減らせます。
歯の回復を顔の調和と併せて理解します
奥歯の高さを確保し、高径を適切に回復する治療は、失った歯の空間を埋めるだけでなく、顔の下部と笑顔の調和を確認する機会となることがあります。院長が説明した本症例も、インプラントと前歯の審美治療を併用し、全体的な回復を考えた記録です。
同時に、写真の印象の変化と高径回復の単独効果は区別する必要があります。治療方法、必要な高径、顔に見られる変化は、個人の口腔状態、表情、治療条件によって異なります。
参考文献
- Mohindra NK, Bulman JS. The effect of increasing vertical dimension of occlusion on facial aesthetics. British Dental Journal. 2002;192(3):164–168. DOI: 10.1038/sj.bdj.4801324.
- Kim SW, Ko KH, Huh YH, Cho LR, Park CJ. Evaluation of Perceptual and Anthropometrical Facial Changes According to Increase in Vertical Dimension of Occlusion. Journal of Oral Rehabilitation. 2025;52(6):833–839. DOI: 10.1111/joor.13937.
- Sun J, Lin YC, Lee JD, Lee SJ. Effect of increasing occlusal vertical dimension on lower facial form and perceived facial esthetics: A digital evaluation. Journal of Prosthetic Dentistry. 2021;126(4):546–552. DOI: 10.1016/j.prosdent.2020.07.013.